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ほころび縫いて

ほころび縫いて

2021年11月28日

急に寒くなりましたね。爽秋から錦秋を通り越して一気に初冬に入ってしまったような感じがします。私はちょっと油断していて冬用の着物を出しておらず、少し風邪気味になってしましましたが、幸い発熱はなく軽い頭痛と体のだるさで済んでくれました。昨今は発熱してしまうと大変な騒ぎになってしまう社会情勢ですからそれくらいで済んでよかったです。

 

冬用の着物…と言っても、私は昔からモコモコした服は動きにくくて好きではなく(注1)、いつものワイシャツ&ジャケットに何を羽織るのかと言うだけです。寒ければ着るし、寒くなければ脱いで身軽になってしまうと言うことですね。従いまして、私にとって冬装備とは愛用のコートとダウンジャケットが全てということになります。

実は昨年の冬にコートを車の出っ張りにひっかけて破いてしまったんです(注2)。メーカーに修理をお願いしたのですが、もう少し出せば新しいヤツが買えるよなぁってくらいのお見積もりを頂いて、うーんと考え込んでしまいました。しかし、何度も共に冬をくぐり抜けてきたコートくんを見捨てることができず、修理してもらいました。

 

日本と言う国は春夏秋冬の季節に恵まれた実に美しい国だと思ってるんですが、逆に言えば夏は暑く冬は寒い国でもある訳です。ですから冬季の防寒は昔の人々の重要なテーマであったはずだと思うんですが、何故か羊毛や羽毛を防寒具に使うことを思いつかなかったようで、江戸時代以前は防寒と言えばもっぱら綿だったんですね。しかし、綿だって現在の最大の生産地がインドであることからもわかるように寒冷な日本は適作地ではなく、綿を栽培するためには大量の肥料が必要でした。で、その肥料はというと、なんと北海道で獲れたニシンだったんです。江戸時代、北海道で獲れたニシンを乾燥させたものが北前船で大阪まで運ばれ、その肥料で栽培された綿が防寒具として北陸や東北地方に再び北上し人々を寒さから守っていたと言う壮大な循環がなければ芸能界を闊歩する秋田に代表される東北の美人ちゃんたちも今の世に居なかったのかも知れず、人の世の玄妙さを感じてしまいます。

 

さて、肝心の私のコートはと言うと。

右のポケットのあたりを派手に破いてしまったんですが、まずまず綺麗に直して頂きました。私のコートもコットンギャバジン(注3)と呼ばれる綿花素材からできているのですが、薄手でも水も風も通さず軽くて暖かいです。このコートに腕を通すと年の瀬を感じ始めます。

もう師走ですね〜。

 

♪人もまた 傷の数だけ 優しとぞ コートの温(ぬく)し ほころび縫いて

(大伴ヤキモチ)

 

注1)カッコつけてる訳ではなく、私は運痴なのでモコモコしてると色んなものを引っ掛けて落としてしまうんです。

注2)薄くてもこの通りです。運痴はつらいです。

注3)第一次世界大戦の際に兵隊さんを雨風から守るために作られた素材だそうで、元々は軍事用です。そりゃー軽くて丈夫な訳ですな。

 

ベージュのシングルボタン。実は刑事コロンボがモチーフです(^^) 

よーく見ないと分からない程度まで修理してくれました。そこはさすが。

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