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星の宴に

星の宴に

2020年11月23日

夕診の待合室がすぐに暗くなってしまい、秋の深まりを感じる今日この頃です。最近季節の巡りがちょっと早くなっているような気がするんですが、気のせいですかね(注1)。

 

先日、ふと思い立って信州木曽路へ行ってきました。

私は「木曽」と言う響きがなんだか好きなんですよね。中津川の病院に勤めていた時期もあるので慣れた地域でもあって、中津川を超えるともう信州木曽です。中津川に勤めていた頃、木曽すなわち長野県の住所の方が時々いらっしゃって驚いたんですよね。畿内である伊勢国育ちの私には、長野県すなわち信濃国は、はるか遠い異郷の地に思えてまして(注2)。が、名古屋人となった今の私には親しみある隣の県です。

木曽と言えば、「平家にあらずんば人にあらず」と大威張りだった平氏を京都から追い出した木曽義仲さんの故郷です。

平氏は本来武家で、開拓農場主である武士たちの代表者であったはずなんですが、平安貴族に飼い慣らされて自らが平安貴族になってしまいました。ミイラ取りが簡単にミイラになってしまうと言う恐ろしい平安貴族社会を、突然田舎から出てきた若者が深い考えもなく勢いで蹴り倒してしまったって言う感じです。で、蹴り倒したものの、何の準備も根回しもないものですから、用意周到に準備を重ねていた源頼朝さんに敗れ、滅ぼされてしまいました。でも、もし義仲さんがいなかったとすると、頼朝さんは成熟した大人ですから、平安貴族社会から武家社会への突破を義仲さんのように躊躇なくやれたかと言うとちょっと疑問で、そこはやはり何の考えもなく突然入口を蹴破ってしまうような若者のエネルギーがあってこそのことじゃないかと思うんですよね。時代を大きく変革するのは若者の向こう見ずなエネルギーだと思いますから。

最近の日本の若者はその辺がちょっと不満かな〜と思っています。

 

夜は温泉。盆地の夜は早いです。

露天風呂から空を眺めてみると、ド近眼の私にも見えるほどの星空でした。おおっ!と思い眼鏡をかけて改めて眺めてみますと、とても綺麗な星空でした(注3)。そこで星空を眺めて1人酒盛りです。

唐の時代の詩人、李白に「月下独酌」と言う有名な漢詩があって、李白さんは月と月の光が作った自分の影と3人で酒を飲んだそうです。私はと言うと、相手が星では影ができるはずもなく、暗闇の中完全に独酌でした。

まあ、温泉の後ですから、風に吹かれてそれはそれでいい気分でしたけどね。

 

♪ 我ひとり 風に抱かれて 秋の夜 星の宴に 杯上げて

(大伴ヤキモチ)

 

注1)歳のせいでしょうね。

注2)古代は美濃国(岐阜県)までが可視範囲で、その奥の連なった山々と言う意味で「奥十山(おきそやま)」と呼ばれ、それが「御キソ山」と勘違いされて「キソ」になったそうです。今でも近畿から見るとそんな感じではありますね。

注3)星空が綺麗ってことで有名なところだったんですって。「先達はあらまほしき事なり(徒然草#52)」ですね(^^;

 

露天風呂です。

木曽の酒と共に。星は写真では難しいですね。

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