令和になってしばらく経ちましたが、皆さんもう慣れましたか? 私はたくさん書類を書くものですからあっという間に慣れてしまいました。
私は昭和63年に名古屋大学に入学し、昭和から平成に移り変わった時は大学1年生でした。大学を卒業したのは平成6年。その後夢中で走り続けて今に至る訳ですが、開業して2年、ようやく自分の進むべき道のようなものが見えてきたところで令和となりました。論語に「吾十有五にして学に志す…」で始まる有名な一節(注1)がありますが、自分的には「吾 昭和にて医に志す 平成にて立つ 令和にて天命を知る」という感じがして、感慨深いものがありました。
で、感慨深く思っていましたところ「令和改元記念限定モデル」の文字が目に入り衝動買いをしてしまいました。
「何を?」って話なのですが、何かと言えば「弓」です。弓道の。
金の蒔絵が綺麗だっんで、つい。リハビリ室のオブジェが4〜5月は端午の節句の兜なのでその横に飾ろうかと思いまして。
なかなか送られて来なかったのでヤキモキしてたんですが、ようやく送られて来まして、なんとか5月の最終週に一緒に飾ることができました(^^)。
日本の弓ってのは世界的に見てかなり特異な形で、とにかく長いです。しかも握り手が下3分の1くらいのところにあって上下非対称な使い方をします。弓道部に入って初めて間近で見た時は「なんじゃこれ」と思ったもんですが、これ、なんと魏志倭人伝の時代から「日本人は下が短く上が長い弓を使う(弓短下長上)」と記されているんです。大モンゴル帝国を退けた元寇の戦いを描いた「蒙古襲来絵巻」に描かれている鎌倉武士の弓は今の弓の形と全く変わっていません。
新しい技術が伝来すると、あっという間に魔改造して自家薬籠中の物としてしまうのは日本人の特性ですが、その日本人が全く形を変えようとしなかったところに、日本刀と並んで、もはや改造する余地のない究極の形を感じます。長大な弓を背筋を使って耳の後ろまで大きく引き絞る引き方から、同程度の技術の射手で同程度の強さの弓で比べれば威力は世界最強なんだそうです。まさに目的を達成する以外に虚飾のない研ぎ澄まされた形で、私の美意識をくすぐります。
私が弓道で初段をいただいたときは世の中はまだ昭和で、平成に入り程なく2段の認可をいただきました(注2)。昭和、平成と来たら、令和に入ったところでもう一度頑張ってみようかな〜…と思わんでもないんですが、この歳で今更ちょっと無理かな〜 (^^;
♪古(いにしえ)ゆ 継がれ来たりし 弓の道 金に映えけり 令和の世にぞ
(大伴ヤキモチ)
(注1)「子曰 吾十有五而志乎学 三十而立 四十而不惑 五十而知天命 六十而耳順 七十而従心所欲不踰矩」ですね。私は今年で知命となります。
(注2)2018.6.3付 「四半世紀を」の項もご参照ください。
兜は5月末までのつもりでしたが、せっかくなので6月第1週まで飾ることにしました。
金の蒔絵が綺麗です。
弓の名前は「粋(いき)」かと思ったら「粋(すい)」なんですって。