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共に語らば

共に語らば

new 2025年5月18日

半年ほど前の話になりますが、愛知医科大学の教授が退官され(注1)、新しい教授が就任されましたので、その就任祝賀会があり参加してきました。

 

新しく教授に就任された先生は、名古屋大学の後輩でもあり、また大学院で研究をしていた頃に一緒にお仕事をしたこともある先生です。これは行かねば!と心勇んで出かけました。

場所は東急ホテルの大広間で、大御所と呼ばせていただきたい年配の先生方、同世代のかつての同僚たち、そして若い後輩たちと、錚々(そうそう)たる顔ぶれが居並ぶ盛大なパーティーでした。

 

会は式次第に従い進んでいく訳ですが、医者というのは現場職であって、己の腕一本で勝負する職人…と言う側面がありますから、そういう人たちが集団となればなかなか形式通り粛々に…と言う感じにはなりにくいものです。酒も入りますし、同じ大学医局(注2)に属する仲間たちと言う気安さもあって、乱痴気騒ぎとまでは言いませんがだんだんと場が乱れてきます。

 

そんな中。

 

「せんせ〜」と背後から声をかけられました。病院の脳外科部長の頃ならいざ知らず、開業医となった今では特に目立つような立場ではありません。「んー?」と思って振り返ると、脳外科部長時代に部下として私が指導した若い先生方でした。

それぞれ立派になって、大学病院で活躍している先生、地域の基幹病院で研鑽を積んでいる先生、研究畑に進んだ先生…とみなさん活躍しておられました。私は妥協やいい加減さを許さない厳しい上司だったと思いますが、何年も経っているにもかかわらず声をかけてもらえるってことは、ほんの少しでも彼らの役に立つ所があったのかもしれませんね。

彼らに伝えた技術や知識もまた、私がかつて師や先輩から教えてもらった(注3)ものです。文化や文明のエッセンスが伝承されていくことを遺伝子に準(なぞら)えて「ミーム」と呼ぶのですが、ほんのわずかながらも名古屋大学医学部脳神経外科のミームの伝承に貢献しているのかなと少し誇らしく思いました。

 

会の最大の目玉は、新教授のエレキギターの演奏でした。いやーお見事でした。

昨今の大谷翔平さんや藤井翔太さんの活躍を見ても、神はどうしてこうも一人の人間に人類の美点を詰め込むんですかね。

人生って不公平ですな。

 

♪憂き世とて 浮く世とならん 老い若き 皆で集いて 共に語らば

 

注1)2019.4.7付「師もまた進む」の項もご参照ください。

注2)「医局」と言うのは若手医師の育成や人材の配置などを賄う人材バンクのような組織で、多くの場合大学と一体化しています。相撲の「○○部屋」みたいなものと思っていただくとイメージしやすいかと。2019.4.7付「師もまた進む」の項もご参照ください。

注3)私が若い頃は「パワハラ」なんて言葉はなかったですから、「教えてもらった」と言うより「叩き込まれた」と言うのが実感です。ホントに蹴りが入りましたからね、あの頃は。今の若い先生方は甘やかされてるなぁとも思いますが、そうは言ってもあんな時代が正しいとは思えませんね。

 

愛知医科大学脳外科の渡邉教授と。私は「トクちゃん」と呼びます(許可を得て掲載しています) 。

名古屋大学医学部脳神経外科の斎藤教授と。私は「リュータくん」と呼びます。(許可を得て掲載しています)。

渡邉教授を含めてのバンド演奏。渡邉教授のギターソロは圧巻。

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