朝晩が若干涼しくなって、少しずつ過ごしやすくなってきましたね。
そんな中、また1つ歳をとってしまいました。誕生日…この歳になりますと、あまりありがたい響きではないですが、今年もまたスタッフのみんながプレゼントを用意してくれました。
今年は万年筆を頂きました。
大人が普通に使う筆記用具は多くの場合ボールペンだと思われますが、私は好んで万年筆を使います。
万年筆といえば高級筆記具…と言うイメージをお持ちの方も多いのではないかと推察いたしますが、普通の万年筆なら2000〜3000円も出せば結構カッコエエのが買えるんです。ボールペンだとインクが無くなったら本体ごと捨てることになりますよね。でも、万年筆だと本体はそのままでインクを付け替えるだけです(注1)。ボールペンも良いものは替え芯で使えるものがあるんですけれど、この替え芯自体が1本1000〜2000円と結構高いことが多いんです。万年筆ならインクカートリッジは10本で数100円とコスパも良いですし、何よりペン本体は使い続けますからだんだん愛着が湧いてきます。
さて、そんな愛着のあった万年筆にインク漏れが起こるようになり、使っていると手がインクで汚れるようになってしまいました。でも書く分には普通に書けるしな〜ってことで買い換えるタイミングを掴めずそのまま使い続けていましたが、血管を表現する(注2)ために赤インクで使っていたところ、指が赤く染まってあたかも指に怪我をしてるように見え、患者さんたちが心配してるよってなことで、新しくプレゼントしてくれたようです。
万年筆はその重厚感…と言うか、大人の持ち物感から、歴史的な重みのある筆記用具に思えるのですが、その歴史は意外と浅く、できたのは1800年代終盤です。
人類の歴史上長らく使われてきたペンは羽根ペンです。と言うか「ペン」の語源はラテン語のペンナpenna(=羽根)ですから、そもそも論としてペンと言えば羽根なんですね。羽根ペンはペン先をインク壺に浸して羽根の芯に毛管現象でインクを昇らせて書くものですから、それほど多くのインクを吸い上げられません。このため書いては浸し書いては浸しを繰り返さないといけないんですが、そこをペン軸にインクを溜めておく事で解決したのが万年筆ということになります。
ラブレターとまでは言わなくても、文字というものは結局のところ自分の思いを人に思いを伝えるためのものであって、スマホでラインと言う時代であってもそこは本質的に変わってません。そう思うと、ペンが羽ってのはなかなか象徴的でロマンチックな感じがしますね。
私のスタッフ1人1人への思い入れが、空を超えて伝わりますように(^^)
♪ 古(いにしえ)の 筆は羽とぞ この文の 思いよ届け 今空超えて
(大友ヤキモチ)
注1)カートリッジ式の場合。インク壺から吸い上げる吸引式のものもありますが、多くの場合高級万年筆ですね。
注2)私は脳血管障害(脳卒中)が専門領域なんです。2019.11.17付「おほけなく」の項もご参照ください。