唐突ですが、皆さん「夢」ってありますか?
私は子供の頃から夢想癖がありまして、今でもいくつかの夢を見続けています。
夢の1つに吟遊詩人になりたいと言うのがあります。もともとはスナフキン(注1)の影響かな〜と思いますが、高校生の頃は漂白の歌人・西行に憧れました。
この西行さん。本名は佐藤義清(注2)さんと言い、腕力で成り上がった田舎侍ではなく、藤原氏を本家とするエリート武士です。北面武士という天皇親衛隊のリーダーであったにもかかわらず、唐突に身分を捨てて漂白の歌人になってしまいました。武道の腕も確かで、文覚(もんがく)という乱暴者が顔を見るなり震え上がったという話もあります。実は、私のもう一つの趣味である弓道もここにルーツがあったりします。
西行さんは貴族ですから旅をしながら歌を詠む…なんてことができたんでしょうけれど、私は一般ピープルですから働かざるもの食うべからずで、吟遊詩人はちょっと無理です。で、細々と短歌を作り誰に見せることもなく1人で楽しんでいたのですが、ちょっと世の中に出してみたくなりまして、歌人の会の末席に加えていただきました。が、参加する度にケチョンケチョンで、ボロクソ言われて深く傷ついて帰って来ます。三大心理学者の1人であるアドラーさんは「他者への貢献は『褒められる』必要はなく『自己満足』でいいのだ」ってなことをおっしゃいますが、ゴッホさんは生前に売れた絵は1枚だけだったと言うのは有名な話であって、創作もまた最も大事なことは「褒められる」ことではなく「自己満足」だと思います。とは言うものの、せっかくの休日にわざわざボロクソ言われに出かけるってのもなんだか馬鹿らしい気はしています。
そんな中、時々偉い歌人の先生から歌集をいただくことがあります。その度に「カッコエエなあ~」と憧れていたのですが、ふと「これウチでもやれるんじゃね?」と思いまして、やってみました。
私の想定する読者は「歌人」と言われる偉い人たちではなく、別に短歌なんて興味ないし…と言う方たちなので、短歌だけずらーっと並べても読んでられないでしょと思い、イラストをつけて絵本のような形にしました。で、無料で差し上げますねーとクリニックの待合に置いてみました。
…が。
残念ながら「欲しい」と言っていただけたのは数名の方たちだけでした(^^; 結構かわいくできたな〜と思ってたのでちょっと残念でした。
でもまあ、中には「感動した!」とか「楽しかった!」と言ってくださった方もいらっしゃったのでよかったです。
今回装丁したのは2023年の作品なので、2024年、2025年と毎年作りたいな〜と思ってます。「懲りない」ってのが私の最大の持ち味ですからね。
♪ 世にあれば 霞(かすみ)食いては 生きられず ならましものを 旅の歌詠み (大伴ヤキモチ)
注1)ご存知、トーベ・ヤンソンの小説「ムーミン」の登場人物です。ハーモニカを吹く設定なんですが、私にとってはスナフキンと言えばギターですね。絶対。
注2)「よしきよ」と読みたくなりますが、「のりきよ」さんです。