先日ちょっと嬉しいことがありました。
医師が形作る組織としては医師会が有名ですが、医師会とは別に「保険医協会」と言う組織があります。医師が医療行為を行うためにはもちろん医師免許が必要なのですが、健康保険を使って診療するためには「保険医」と言う別の資格が必要になります(注1)。この「保険医」と言う資格を持つ医師・歯科医師で構成された組織が「保険医協会」です。医師会は開業医であればほぼ100%所属している強固な権力組織ですが、保険医協会は保険診療を円滑に回すために作られた互助会のようなもので、極めて緩やかな組織です。私は数年前から保険医協会の愛知県西尾張支部の世話人の末席に座らせていただいていまして(注2)、年に数回発行される会報の西尾張支部版のショートコラムを執筆する係を仰せつかっています。
昨年の春先に編集部との打ち合わせがあった際、趣味で短歌詠むんだよねーと言うお話をしたところ、じゃ年末号に短歌で今年を振り返るっていうコーナーを作りましょうよって話になったんです。単なる茶飲み話だと思って気に留めていなかったんですが、秋も深まりし11月、「原稿よろしく」とメールが来まして、「え、本気だったの?」と言うわけで執筆に取り掛かりました。
短歌は高校生の頃から作り続けている趣味なので(注3)作ること自体は「がってん承知の助!」ってなもんですが、問題は題材です。最近著しく衰えてきた私の記憶力では1年前の世の中の出来事なんて覚えていません。試しに生成AIくんに尋ねてみましたら、泉から水が湧き出るようにスラスラと候補を挙げてくれましたので、そのうちいくつかを選んで短歌を作成して編集部にお送りし大役を果たし終えました。
で、先日、保険医協会から原稿料として図書カードが送られてきました。短歌を作り始めて40年。生まれて初めて趣味が実益となりました。素直に嬉しかったです。
私は芸術とやらが全く理解できない無粋な人間ですので、正岡子規を源流とする写生的で芸術的な短歌は高尚過ぎて間尺に合わず、読んでクスっと笑ってもらえるように作りたいと思っています。お笑いBIG3の1人であるタモリ氏は「仕事じゃないんだぞ、真面目にやれよ!」とおっしゃったそうでが、確かに、何事も楽しくてナンボじゃないですかね。「子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者(子曰く これを知る者はこれを好む者に如かず これを好む者はこれを楽しむ者に如かず)(注4)」ですもんね。
いつの日か「院長と短歌を詠もうの会」をやりたいんですよねー。上手も下手もなく、ただただ日々感じたことを言葉のパズルで楽しむ会って感じで。
どうですかねー(^^)
♪詠むも読むも 楽しかるべし 短歌和歌 上手きも下手も その後のことぞ
(大伴ヤキモチ)
注1)2019.11.17付「おほけなく」の項もご参照ください。
注2)2023.10.22付「酔いに任せて」の項もご参照ください。
注3)2019.12.18付「数打ちゃ当たる」の項もご参照下さい。
注4)「論語」の一節です。

会報と図書カード。生まれて初めての原稿料です。