先日、学生時代の友人と久しぶりに会いました。名古屋大学医学部での同級生で弓道部(注1)で同じ部活だった奴です。「奴」なんて書いちゃいましたが、今や某大学医学部の教授さまであらせられる偉い先生で、ウイスキーで言えば幻の高級酒「山崎12年」とコンビニで買える「黄角」くらい私とは差があります。
みなさんウイスキーってどう作るかご存知ですか? お酒には醸造酒と蒸留酒があるんですが、醸造酒と言うのは果物や穀物などの糖分を酵母菌の働きでアルコール発酵させてそれそのものを飲むもので、その醸造酒に工夫を加えアルコール度数を高めたものが蒸留酒です。
アルコール度数を高めると言っても、アルコール度数を高めていくとそのアルコールによって酵母菌が殺菌されてしまいますから、アルコール発酵のみでは限界があります。塩水を濃くするには水分を蒸発させれば良い訳ですが、アルコールは水より蒸発する温度が低いため水を蒸発させようとすると先にアルコールが蒸発してしまいます。そこで、わざとアルコールを先に蒸発させ、蒸発したアルコールを集めて再び液化する蒸留と呼ばれる方法を取ります。これをそのまま飲めばジンやウォッカと言うことになりますが、ウイスキーはさらに一手間かけて蒸留された酒を樽に詰めて熟成させます。
彼は蒸留洗練された知性知識を熟成させ、押しも押されもせぬ高級酒になったと言うことですね。
さて、そんな偉大な友人と何故旧交を温める機会が得られたのかと言うと、それには友人の奥さまが登場します。奥さまも名古屋大学医学部の同窓かつ弓道部の後輩で、たまたま私の開業医仲間の医院にお仕事にいらっしゃったんです。しかも私の趣味である短歌の世界の偉い人(注2)であったという不思議な縁がつながって今回の飲み会となった訳です。
さて。
そんな偉い友人ですから、最初は私は彼を「教授」と呼び、彼は私を「先生」と呼んでいたですが、そんなのはほんの束の間で、しばらくすると「杉浦〜」「望〜」と呼びあって歓談してしまいました。フットワークの軽さは昔とちーっとも変わりません(注3)。「もーちょっと飲むか〜」と言って、すいっと席を立ち店員さんにビールを頼みにいってくれる「教授」の姿に、こんな奴が親方である若手の先生たちは幸せだろうなぁと心から感心してしまいました。
ウイスキーの語源はアクア・ヴィータ(命の水)ですが、まさにそんなイメージですな。
彼と話していると、やっぱり自分は精神の熟成度が足りんなぁと感じちゃいますが、まあ黄角には黄角のありようがあるってことで勘弁してくださいm(_ _)m
♪青き日の 香る魂 時を経て 熟れて芳し 友が心根
(大伴ヤキモチ)
注1)2020.4.1付「まずは一歩ぞ」の項もご参照ください。
注2)2022.11.23付「なおぞ嬉しき」の項もご参照ください。
注3)目立つタイプではないんですが、何か困り事があっても不思議となんとかしてしまう男でしたな。