皆さまGWはいかがお過ごしでしたか?
私は毎年の恒例で、特にすることもなくのんべんだらりとぐうたらに過ごしてしまいました。
しかしながら、今年は「のんべんだらり」の一環として赤ワインを楽しませていただきました。私が昔手術を担当した患者さんにいただいたものです。毎年当院の開院記念日(2017年4月4日)に合わせていただくのですが、例年通り今年もいただきましたので。
ありがとうございました(^^)
いや〜、美味しかったです。
赤ワインは不思議な飲み物で、熟成が進むほど甘みが少なくなって渋みが前面に出て来て、大人の味になってくるんですよね。お抹茶の美味しさに近いものを感じます。
ヨーロッパの人たちにも「渋み」は好きだけど酔っ払うのは嫌って人たちは少なからずいると思いますから、その辺りが抹茶ブームの背景なんじゃないかなと思っています。
ワインはその歴史がわからないくらい古くから飲まれているお酒なんだそうで、ギリシア神話にも「ワインの神さま」がいるんです。ギリシア神話には太陽神のアポロンさんや月の女神であるアルテミスさんがいますが太陽や月の起源なんて普通考えませんでしょ。ワインもまたその起源を考える気にならないほど古くからあった普遍的な飲み物だったんでしょうね。
ワインの神さまはデュオニソスさんと言います(注1)。デュオニソスさんはあまり陽気な質(たち)ではなかったのか、陶酔と混沌の象徴でもあるんですよね。確かにお酒ってそう言う負の側面はありますもんね。
「神は死んだ」で有名なニーチェさんは、芸術にはデュオニソス的な激情と無秩序の陶酔的なものとアポロン(注2)的な理性と秩序の形式美的なものがあると指摘したんです。芸術を評論する能力は私はありませんが、確かに、かつてはロック音楽はデュオニソス的だったんでしょうし、私の趣味である短歌でも5-7-5-7-7にこだわらない現代短歌と言われる歌風とかはデュオニソス的だったのかなと思います。しかし、今となってはそれもまた皆が真似る形式の1つです。「皆と同じは嫌だと言う皆と同じセリフ(注3)」と言う話であって、移りゆく世でデュオニソスを気取り続けるってのもなかなか難しそうですね。
まあ芸術家ともかく(注4)、酒の場が激情と混沌の場であることは今も昔も変わりませんね。枕草子には「にくきもの」の一つに入ってますし、徒然草でも「狂人となりてをこがまし」なんて言われてます。まあ「酒は飲んでも飲まれるな」と言う至極もっともな話ではありますね。
もちろん私は1人で飲んでますから、どんなに酔っても乱れても誰にも迷惑はかけず自己責任の範疇です。酔いも渋みもたっぷり堪能させていただきました。
楽しいGWでした。
♪ 一人ある 夜こそ彩れ 思い出と 葡萄の酒の 深き紅瑠璃
(大伴ヤキモチ)
注1)ローマ神話での名前は「バッカス」です。こっちの方が通りがいいかもしれませんね。
注2)太陽神として有名なアポロンさんですが、詩歌・音楽などの芸術の神でもあるんです。
注3)だいたひかるさんのお言葉。至言ですな。
注4)芸術の世界でも学問の世界でも「俺の酒(作品)が飲めねえって言うのか?」的な自己陶酔者は普通にいますけどね。