参議院選挙が終わりましたね。
私は自らの投票行動も含めて政治的な動きには一切関わるつもりはありませんし、今回の結果についても普通に考えて普通の結果だよねと言う印象を持つだけであって、それ以上にもそれ以下にも感想はありません。
が。
今回は選挙期間中に大変な事件が起こってしまい、ノンポリ(注1)を信念とする私も少なからぬショックを受けました。
そうです。安倍元首相の暗殺事件です。これには本当に考えさせられるところがありました。
古くはローマ皇帝カエサルや三国志における董卓や孫策、少し時代が下ればアメリカ大統領リンカーン、本邦においても蘇我入鹿から織田信長や井伊直弼、近世においても犬養毅や高橋是清など、政治家の暗殺そのこと自体は歴史の中で時々あるよねと言ったものではあるのですが、是非正邪はともかくとして、例え極めて近視眼的であったとしても暗殺する側には暗殺する側なりの「正義の追求」といった筋が通ったものがあるんですよね。でも今回の事件にはそう言った理念が感じられず、なんなんだこれは?と思ってしまいました。繰り返しますが私は政治には全く関わりませんので、一個の政治家の見識にも功罪にも評価評論をすることは一切ありませんが、政治家が政治理念の衝突においての暗殺ならともかく、こんなことで命を落とすなんて、さぞや御無念でいらっしゃったことでしょう。
人と言うサルは明日のことを考えて今日の行動を決定すると言う点が他の動物と違う点だと思いますし、それが明日でなく10年後20年後とと言う遠未来まで考えられるのが頭のいい人だと思うのですが、そう言う人にとっても、そうでない人にとっても、人生ってこうも唐突に終わってしまうものなんだなと考え込んでしまいました。
「寝室を出るそのときから今日自分は死ぬのだと思って行動せよ」と言ったのは己の才覚一つで戦国の世を渡りきり、津32万石の太守となった藤堂高虎さんです。この方の世渡りを見る限り、遠未来を見通せた傑物(あるいは奸物)であったはずですが、その傑出した視点を以ってしても、戦国時代と言う常に死と隣り合わせの浮世にあれば、こう言う感慨を持たざるを得ないという事なんでしょうね。
警護員の無策を批判するのは簡単ですが、本質的には強烈な同調圧力に裏打ちされた強い正常性バイアス(注2)…すなわち日本の平和ボケなんだろうなと感じざるを得ませんでした。
治療にあたった医療関係者の皆さんの奮闘ぶりと無念さは、私もER(救急救命室)やICU(集中治療室)に常日頃出入りしていた身として痛いほど理解できます。お互い明日も頑張りましょうね。
今回は暗くなってしまいました。
これは本当にこの国の姿なのかと本当にショックだったので。すみません。
注1)non-politicalの略で、政治運動に関心が無い人のことです。
注2)重大な被害をもたらす事件や事故を示唆する情報であるにも関わらず、日常の延長線上の出来事と捉えて敢えて過小評価してしまう偏見のことです。
♪空蝉の 世は移りけり 苧環(おだまき)の 光る命の 珠を紡ぎて
(大伴ヤキモチ)