先日クリニックの忘年会を執り行いました。
新型コロナは世界的にはまだまだ猛威を奮っている様ですが、幸い我が国は落ち着いている状況なので今がチャンスだと思いまして。
新型コロナが世の中を騒がせ始めたのは2020年の早春ですから足掛け2年になりますよね。マスクやトイレットペーパーの買い占めもあり、補助金やらgotoトラベルやらと市民も為政者も混乱を来していましたが、それでもそれなりに文化的理性的な生活を維持してしまうのが日本人のすごいところですね。基礎教育に裏打ちされた(注1)日本社会の堅牢さを感じます。
当院は脳神経系の専門的なクリニックですので、提供する医療の質に見合った接遇をスタッフに学んで欲しいと言うことで、以前は実地の接遇研修としてホテルのレストランなどで時々ランチ会をしてたんです。一流と言われる店の物腰や言葉使い、気配りなどのホスピタリティはもちろんですが、逆に、ホスピタリティが高いところほどルールを逸脱した理不尽な要求は通らないものなのだと言う点なども含めて何かを感じて欲しいと思いまして。もちろん美味しい料理を食べながらお話をすること自体楽しいですしね。しかし残念ながら新型コロナ以後はできなくなってしまいました。
で、今回は久しぶりのスタッフとの会食で、しかも忘年会でしょ。少し大盤振る舞いしちゃいました。場所は東区の料亭です。
東区…と言えば、下町育ちの私には完全アウェーな土地柄で(注2)、私の如き下世話な心の持ち主は足を踏み入れると体の芯が浄化されてしまうような心細さを感じてしまうんですが、スタッフたちは浄化されるような気配もなく、その心根の清らかさに感心してしまいました。店の門構えや中庭の立派さの反面、待合や廊下など落ち着いた雰囲気などには感動してくれたようで、そう言ったやんごとなき佇まいにも慣れていると言う一点において、年長者として若干の威厳を保つことができてホッとしました。
新型コロナの影響で今後忘年会と言う文化はなくなっていくんでしょうかね。ちょっと調べてみましたら、忘年会って室町時代まで遡るらしいです。でも、その頃の「年忘れ」は身分の高い人たちが集まって執り行う上品なものだったそうで、今のような乱痴気騒ぎ的な忘年会になったのは明治時代以降なんですって。若手社員が無理矢理芸をさせられる様な忘年会よりも、気のあった仲間でとか、年末にしか会う機会のない友だちととかで酒を酌み交わしつつしっぽりと語り合うような形の忘年会の方がよほど正統な形なのかもしれませんね。
まあ何にしてもスタッフたちが楽しんでくれたようでよかったです。またランチ会やりたいな〜。
♪綺羅綺羅し 我を助くる 女神らの この宴こそ いざ楽しまめ
(大伴ヤキモチ)
注1)教育は社会の根幹ですが「教育を受ける義務≠学校へ行く義務」です。死ぬほど辛ければ学校なんて行かなくていいんです。絶対に死んではいかんです。
注2)2020.2.16付「深見草」の項もご参照ください。