今年は桜の季節がずいぶん早く、そしてまた短かった気がしました。歳のせいで月日が早く過ぎ去っていくのかと思いきや、2年前の4月7日に桑名城址公園に行った記録がSNSに残っていまして、この時桜は見事満開でしたので、やっぱり今年の桜は早く咲いて早く散ったみたいですね。加齢による感覚錯誤でなくて少しホッとしています。
桜が散るといえば、伊勢物語に
♪ 世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
と言う和歌があります。「世の中に桜が無かったら、心のんびりと春を過ごせるのになあ」と言った感じです。作者は平安のプレイボーイとして名高い在原業平さん。毎年毎年人々が花便りに一喜一憂する様子を見るにつけ業平さんの感性に感心させられます。
この和歌には
♪ 散ればこそ いとど桜は めでたけれ 憂き世になにか 久しかるべき
と言う返歌があります「桜は散るからこそいいんでしょ。この世に永遠のものなんてないんだから」って感じですね。和歌の出来不出来を論ずる能力は僕にはありませんが、若干理屈っぽい感じではあるものの、僕は返歌の方が好きですね。良くも悪くも人の世とは移り変わっていくものですからね。
世の移り変わりと言えば、昨年1年間での世の中の変わりはすごいですよね。新型コロナウイルスの猛威はまだまだ続いていますが、それでも昨年の今頃に比べればずいぶん世の中明るい気がしています。あの頃は本当に暗かったですよね(注1)。でも、マスクの着用や手指消毒の徹底などはもちろん、通販の充実やら電子媒体の活用やら次々と工夫が出てきて世を明るくしてくれました。そういった工夫は基本的に人と人との繋がりを求めてのものであって、そのための知恵が次々と湧き出てくる人というサルはなんと逞しい生き物かと感動させられます。
新型コロナのワクチンももう少しで実施されそうですね。
当院のあるあま市ではワクチン接種を担うスタッフが足りないとのことでしたので、医院を挙げて協力し、スタッフの勤務シフトにワクチン接種を組み込んで日常業務の一環としてお手伝いすることにしました。勤務シフトなのでその日はそれがお仕事で、ワクチン接種が終わればその日は直帰でOK。運営的にはちょっと厳しいんですが、そこはCSR(注2)ってことで。人類が叡智を駆使して編み出したワクチンは、人類が新型コロナに対して初めて持った武器です。これに協力しない手はありませんからね。
遅々として進まない印象もあって焦ったい気もしますが、「待てば海路の日和あり(注3)」です。もう少しの間しっかり守りを固めてその時を待ちましょうね。
♪ 術(すべ)極め 繋がる人ぞ 逞しき 病はびこる 世を越えてなん
(大伴ヤキモチ)
注1)2020.4.6付「絆あれこそ」の項もご参照ください。
注2)corporate social responsibility:企業の社会的責任と訳されます。企業の正義感とその実践と言う感じですね。
注3)プラスして「果報は寝て待て」「棚からぼた餅」で私の生き方3原則ですな。