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おほけなく

おほけなく

2019年11月17日

先日、なんだか見慣れない封筒がやってきました。差出人は日本脳卒中学会です。「ん?」と思ったんですが、開けてみますと脳卒中指導医に認定して頂けたという通知でした。

 
大学の医学部で6年間勉強し医師国家試験に合格すると「医師」になる訳ですが、医師免許というものはそれだけでは「医業を生業とする」ことが許可されるだけで、それ以上の効力を持ちません。普通に診療をするにはもう少し重ねて資格が必要なんです。
現在の日本人がなんらかの傷病を負われた場合、多くの場合健康保険を用いて治療を受けられますが、この健康保険を適用するには、当人が「健康保険を使う!」と宣言してもダメです。これ、よく分かってらっしゃらない方が多いんですが、ご本人がどんなに叫んでも怒鳴っても保険は適用されないんです。ではどうやったら適用されるかと言うと、「保険医」と言う特別な資格を持つ「医師」が「健康保険に加入」している傷病者さんに対して、この傷病の状態は「健康保険の適用であると判断」し、「健康保険に申請する」…と言う手順を踏まないとダメなんです。ですから、その傷病者さんが「健康保険に加入している」と分かる会員証が確認されなければそもそも適用されません。だって、どこに申請していいのかわからないんですもん。ですからトラブルを防ぐために、健康保険の適用は月に1回会員証(保険証)を確認することが条件とされています。
会員証を持ってなかったり期限切れだったりした時に「保険でやれ!」と主張するのは、割引券を持ってなかったり期限切れなのに「割り引け!」って言ってるようなもんで、「そんなのクレーマーでしょ」って話になります。
 
医師の資格にはもう一つ「専門医」というのがあります。
これは医療の質の担保をするために各診療科の学会が独自に定めたもので、公的なものではありません。ですが、だからこそ各学会とも診療科の名誉にかけて本気モードで試験を課してきます(注1)から、受ける側も本気モードで勉強しないと合格しません。診療科には基本診療科(内科、外科、整形外科、脳外科など18科。)というものがあって、その専門医資格を取ると、さらにその上に各分野の専門医資格があり、またその上に指導医の資格が…と言うような複雑な多重構造になっていて、一生勉強を続けざるを得ない社会構造になっています。医者って生き物は、泳ぎ続けないと呼吸ができないサメのような生き物であって、その辺ケッコーつらいものがあります。
私は、基本診療科として脳神経外科の専門医・指導医で、さらに専門として脳神経血管内治療の専門医・指導医かつ脳卒中の専門医資格を持っていますが、先にも述べました通り、先日脳卒中学会から脳卒中指導医に認定して頂きました。脳卒中と言う疾患は、唐突に前触れなく起こり、多くの場合後遺症を残し、そしてその後も人生が長く続くと言う特性を持つ疾患ですから、発症初期の治療から後遺症への対応、そして再発の予防まで一元的に管理すべきだ…と言うのが私のライフワークだと思ってお仕事をしてきましたので、その活動を認めていただいたように思えて嬉しく思いました。
 
五十路を迎え「天命を知る」とは言いますが(注2)、六十の手習いなんて言葉もありますから、五十なんてまだハナタレ小僧ですな。まだまだスキルアップに頑張りまーす。
 
♪おほけなく 指導医認可の 文届く 天は告げたり 腕を磨けと
(大伴ヤキモチ)
 
注1)2017.10.1付「試されおるなり」の項もご参照ください。問題を作る側も結構大変です。
注2)2019.8.25付 「我のありてぞ」の項もご参照ください。不惑は未だ来ず…。
 
 
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